リサイクルショップを初めてみよう!今から始める古物商入門

 粗利ミックスというのを理解するためにはまず粗利について知っておく必要があるかもしれませんが、これは単純に言うと売上総利益の事を言います。例えば原材料や流通コストが1円だとして10円のガムを販売して売れたら9円の粗利ということです。そしてこの原価と売価の比率の事を粗利率というのですね。この粗利ミックスとはそうした粗利率の違う商品を組み合わせて、最終的に店全体の粗利額を増やしていくという手法です。よくある客寄せパンダ戦略となんだか似たところがあると感じた人もいるかもしれませんが、あながち間違いでもありません。

粗利ミックスについて詳しく

 例えば、実際のリサイクルショップなどを見てみますと無料で回収してそのまま販売してしまうという粗利率ほぼ100%の商品や、修理して販売するという90%くらいのもの、はたまた金券といった5%もないものなど様々な物があるかと思います。殆どの企業が、これらの粗利額を最大化することに目的をおいていて、一円でも多くの粗利を生み出すという考え方が企業を運営する上では必要になります。そうです。勿論粗利率が高いビジネスや商品を選ぶことも大切なのですが、ここでもっとも重要になってくるのは率ではなく額なのです。粗利額が最も高くなるように設定していかねばならないのです。

 よくわからないと思いますので実際のショップを例にとって説明しましょう。

 加賀屋ではとある商品を1000円で買い取りして1万円で買い取りしていました。また越後屋では同じ商品を5000円で買い取り2万円で販売していたとします。果たしてどちらのお店が賢いのでしょう? 加賀屋でしょうか?越後屋でしょうか?

 正解は越後屋です。勿論これは粗利率だけで見た場合に言えば、加賀屋が90%の粗利率、そして越後屋が75%と一見前者のほうが有利な気がしますが、粗利額を見てみると加賀屋は9000円、越後屋は15000円もの粗利額を出しています。つまり、越後屋の方が6000円も儲かっているということですが、話はそう単純ではありません。お客さんの殆どが「高く買ってもらいたい」と思っているのですから、1000円で買われるよりも5000円で買われた方が嬉しいはずです。そうなると当然、5000円で買ってくれる越後屋に商品の在庫が集中し始めるわけです。人によっては加賀屋に売ろうとしている人に対して「うちなら2000円だよ」と持ちかけて、裁定取引をするかもしれませんね。結果として商品の殆どが越後屋に集中し、より多くの商品がさばけるようになってくるということです。

 つまり、あなたの知り合いのリサイクルショップで「こんなに安く買いたたけましたよ!」と言っている人がいたら「僕は馬鹿ですよ」と言っている事に等しいのです。特にリサイクルショップの場合は買い取りや仕入れもお客様からになることが殆どですので、卸業者と違って一電でも安く買い叩いたからといって、それが素晴らしいかというと違います。その買い叩いたお客さんは、おそらく今後売りにも、買いにも来なくなってしまう可能性もありますので、肝に銘じておきましょう。

納得させる買い取りは粗利率を減らすと良い

 つまり、お客様が何かを売りに来た時には、その中で一番高値を期待しているものに対しては粗利率を減らし、そうでなさそうなものに関しては粗利を上げるという戦術が有効になってきます。これが粗利ミックスです。例えば、ブランドバックとその他の洋服や帽子などを買い取り希望で持ち込んだ場合、おそらくはブランドバッグが一番高く買い取られると期待しているかと思われます。これに関しては商品的価値とお客様が期待している価値を見抜く力が必要になりますが、もしその商品がわかった場合は、その商品のみ意図的に粗利率を下げるのです。もし、この商品の買い取り額が少なければ、他のものも全て持って帰ってしまうかもしれませんが、その売るものの中でもっとも重要なものに対して満足頂ければ、他はあまり気にせずに売ってくれる可能性が高くなります。

 つまり、ブランドバッグで粗利率を下げた分、他のノンブランドのものの粗利率を上げるということです。そうした粗利率ミックスによって、最終的な粗利額を最大化することが重要になっているのですね。

買い取った商品を販売する際には

 更に、それらの買い取った商品に関しても粗利ミックスを用いると非常に効果的です。殆どのお客様が実際に自分が売った後に、それがいくらで売られているのか気になるそうですが、実際にチェックしたり、再び来店された際に自然と見てしまうことが多いそうです。特に実店舗だったりしますと、売却者イコール購入消費者という図式にあることも多く、売りに満足いただけなければ、今後買ってくれなくなるということもあるわけです。ですので、前述した通り、買い取りの際にはお客様が高価買取りを希望した商品に関しては粗利率を下げたわけですね。これを売る際もギリギリの粗利率でお店の目立つ場所で面陳します。こうした面陳列というのはその商品がよく見えるだけでなく価格などもわかりやすい形で表示されているので、数日内にお客様の目に留まる可能性が高くなり、ああ、しっかりした値段で買い取りしてくれたんだと納得されるはずです。逆に、安く買い叩いたその他の服や帽子などは什器バーに引っ掛けて吊るしで売ると良いとされています。これらは、しっかりとチェックしないと値段が見えませんので、高価買取りしたものだけに目が行き、見落とされ安いです。しかし、結果としてこれら全ての粗利額を計算した時に最大化されていれば、いくらカバンを高く買って、ぎりぎりで売っても全く問題が無いわけですね。こうしたお客様の信頼を得ながら、粗利額を最大化していくのが粗利ミックスという手法なのです。

古本屋のお爺ちゃんの話

 神保町のとある古本屋のお爺ちゃん店主が「本の価値がわかるなら高く買い取ったほうがええんや」という風な話をしていて、胡散臭いなと思ったこともありましたが、これはある意味粗利ミックス的を射ているという風に今では思えます。高価な本は高い位置にその値段をしっかり表示して売って、それ以外の本はワゴンセールの背陳列と物凄く合理的だったと今更気づきました。確かに何か希少価値の高い商品を独占して俺価格を付けたいと思った際に、この高く買取るという戦術は非常に有効です。誰もが安い値段よりも高い値段で買って欲しいと売りたい人は思っていますし、買いたい人からしてみれば、安い値段で買いたいと思っているはずです。この場合買いたい人に寄り添っていくと、どんどんとばかみたいに値が落ち、売る人はただ同然でクズ本を引き取ってもらう人くらいしかいなくなってしまいます。しかし売りたいという人に寄り添っていくと、本の値は比較的上がりやすくなり、コンテンツを独占した暁には好きな値段をつけることも可能になってきます。また、「独占してください」と自ら本を持ってきてくれるようになります。そうなると高くなりすぎて売れないのではないかと思う人もいるかもしれませんが、そもそもマニアックな総数が少ない本に関しては、相当のマニアでなければ買いません。つまり多少高い値段でも買いますし、相場の中で一番安い値段で買いたいと思っている訳です。ですので、自らが相場を持っているコンテンツに関しては、比較的事由に価格設定して売ることが可能です。その場合いくら高くても欲しいと思う人はしっかりと買ってくれますし、そのほうが結果として粗利は高くなります。

売りたい買いたい